PROJECT CASE

プロジェクト事例

「見たい」を「行ける」に変える。募集枠160名が即完売、台湾向け長岡花火ツアーのしかけ

旅行事業部

この記事のポイント

  • 長岡花火そのもののブランド力に加え、「観覧席・宿泊・交通」という海外旅行者が個人で手配しにくい部分をパッケージ化
  • 価格の安さではなく、「どこから花火を見られるのか」「安心して参加できるか」という体験価値を重視
  • 長岡花火への関心や専門性、ターゲットとの親和性を基準にインフルエンサーを選定
  • 全160名を4回に分けて募集し、各回ほぼ一晩で募集枠が埋まる結果に
  • 分かりやすい集合導線と、多言語で対応できるスタッフ体制によって海外のお客様の不安を軽減

取り組みの概要

項目 内容
商品 台湾観光客向け 長岡花火ツアー
主な内容 交通・新潟市内ホテル1泊・長岡花火団体観覧席
旅行代金 1人66,000円(国内旅行料金)
募集人数 全160名
販売方法 約40名を4回に分けて募集
主な集客 台湾向けインフルエンサーによるSNS発信
販売結果 各回とも告知後、ほぼ一晩で募集枠が埋まる
主なターゲット 旅行体験に一定の予算をかける台湾の若年層~ミドル世代
受入体制 英語・中国語・日本語など、多言語でのコミュニケーションに対応

日本を代表する花火大会の一つとして、海外からも高い関心を集める長岡花火。

台湾でもメディアやSNSを通じてその魅力が広く知られ、「一度は現地で見てみたい」と考える旅行者も少なくありません。

一方で、海外から個人で長岡花火を見に行こうとすると、観覧席の確保だけでなく、宿泊先や当日の交通手段、集合・移動方法、言語の違いなど、いくつものハードルがあります。

そこで今回企画したのが、長岡花火の団体観覧席、交通、新潟駅周辺のホテル1泊を組み合わせた台湾向けツアーです。

全160名分を4回に分けて募集したところ、各回ともインフルエンサーによる告知後、ほぼ一晩で募集枠が埋まりました。

なぜ、このツアーは台湾のお客様に選ばれたのか。
今回は、台湾向け長岡花火ツアーの企画・集客の舞台裏を聞きました。

 

インタビュー参加者

旅行事業部 営業第二課 王(わん)

「一度は見たい」。台湾でも高いブランド力を持つ長岡花火

――台湾のインバウンド市場から見て、長岡花火にはどのような魅力があるのでしょうか。

愛宕商事 王(以下、王)

長岡花火は台湾でも知名度が高く、メディアやインフルエンサーを通じて、その魅力が広く紹介されています。

「一度は現地で見てみたい」と思っていただける、非常にブランド力のある観光コンテンツだと感じています。

特に、音楽と花火が一体となった大規模な演出は、花火を見ること自体が日本旅行の目的になるほどの魅力があります。

長岡に限らず、利根川や赤川など、日本各地の花火大会を訪れる台湾の方も見られます。そこで体験した感動がSNSで共有され、それを見た別の方が「自分も日本で花火を見てみたい」と思う。

そうした循環も、日本の花火大会への関心を高めていると感じています。

人気コンテンツを「海外からでも購入し易い商品」にする

――実際に台湾向けのツアーとして形にするとなると、難しい部分もあったのではないでしょうか。

王 最大の課題は交通面でした。

長岡花火の開催日は非常に混雑します。バスの駐車場所や乗降場所、そこから観覧席までの移動など、土地勘のない海外のお客様にも分かりやすい形にする必要がありました。

海外のお客様の場合は、そこに言葉の違いも加わります。

私自身、英語・中国語・日本語など複数の言語でコミュニケーションが取れるため、企画段階から「海外のお客様がどこで迷うのか」「どのような説明があれば安心できるのか」を考えながらツアーを設計しました。

――そうした課題がある一方で、「この内容なら台湾のお客様に選んでもらえる」と感じたポイントはどこでしたか。

王 迫力を感じられる団体観覧席と、新潟駅周辺の利便性の高いホテルをセットで確保できたことです。

長岡花火の開催時期は、希望する観覧席も、便利な宿泊施設も確保することが難しくなります。海外のお客様がそれぞれを個人で手配するのは、さらにハードルが高くなります。

そこで、交通・宿泊・観覧席を一つの商品にまとめ、海外からでも参加しやすい形にしました。

「価格」ではなく「体験」を重視した商品設計

――どのようなお客様をイメージして商品をつくったのでしょうか。

王 主に、旅行に一定の予算をかけることができる台湾の若年層からミドル世代を想定しました。価格だけで判断するのではなく、観覧環境やホテルの利便性、手配の安心感を重視される方です。

交通・宿泊1泊・観覧席で66,000円ですので、決して安い商品ではありません。

それでも、新潟に宿泊し、時間や移動に余裕を持ちながら快適に花火を楽しみたい方に選んでいただける商品を目指しました。

――今回の商品で、「一番の価値」と考えていたポイントはありますか?

王 一番は、「どの場所から花火を見られるのか」ということです。

高い旅行代金を払って参加されるからこそ、観覧席からの見え方は慎重に比較されます。

今回確保した団体観覧席は、花火の迫力や広がりを十分に楽しんでいただける席でした。

そこに、移動しやすい新潟駅周辺のホテルを組み合わせることで、安心感と快適さの両方を提供できたと考えています。

「たくさんの人に届ける」より、「関心のある人に届ける」

――集客にはインフルエンサーを活用されています。なぜ広告やOTAではなく、インフルエンサーを重視したのでしょうか。

王 重視したのは、ターゲット層への届きやすさです。

今回想定している若年層からミドル世代にとって、SNSは日常的な旅行情報の収集手段です。

単純に広く広告を出すのではなく、長岡花火に関心を持っている方へ、普段から見ている発信者を通じて商品の魅力を伝える方が、検討していただきやすいと考えました。

海外からツアーを申し込む際には、「この商品は安心して購入できるのか」という不安もあります。その意味でも、日頃から情報を見ている発信者を通じて紹介していただくことには意味があると考えました。

――今回はどんな基準でお願いする方を決めたのでしょうか。

王 今回は2名の方にご協力いただきました。

1名は、もともと長岡花火に関心があり、花火に関する情報も発信していた台湾の方です。

もう1名は、台湾の方向けに長岡花火を専門的に紹介している日本人の方です。関連するWebサイトも運営されており、情報の専門性と、継続して発信してきたことによる信頼性を重視しました。

「長岡花火に本当に関心のある人へ届くか」「商品の内容を理解したうえで紹介してもらえるか」を重視しました。

「すごい」ではなく、購入後の体験を具体的に伝える

――実際に紹介していただく際には、インフルエンサーの方にどんなポイントを伝えてほしいとお願いしましたか。

王 主にツアーの紹介と、予約受付開始の告知です。

特に伝えていただきたかったのは、観覧席の魅力と、新潟駅周辺に宿泊できる利便性です。

全160名分を一度に販売するのではなく4回に分け、それぞれの予約開始のタイミングで、静止画と文章を使って発信していただきました。

――実際のお客様の反応を見て、特に響いていたと感じたのはどんな部分でしたか。

王 やはり「観覧席からの眺め」と「ホテル・交通の利便性」です。

このツアーを購入すると、どのような場所から花火を見られ、どのように移動し、どこに泊まれるのか。

そうした購入後の体験を具体的にイメージできるように伝えたことが、申込みにつながったと考えています。

4回の募集が、それぞれほぼ一晩で埋まった

――実際に募集を始めてみて、反応はいかがでしたか。

王 告知後、想定以上に早く反響がありました。

4回に分けて募集しましたが、各回ともインフルエンサーを通じて予約受付開始を告知すると、ほぼ一晩で募集枠が埋まりました。

他のツアーとの厳密な比較はしていませんが、長岡花火への関心の高さと、今回の商品内容に対する需要を感じる結果になりました。

「伝わる」だけでなく、「迷わない」。海外のお客様を支える受け入れ体制

――実際にお客様を迎える際には、現地で特に気をつけたことはありますか。

王 特に重視したのが、集合場所の分かりやすさです。

当初は複数の集合場所を設けることも考えていましたが、土地勘のない海外のお客様にとっては、選択肢が多いとかえって分かりにくくなります。

そこで最終的には、新幹線を利用される方にも分かりやすい新潟駅付近の乗車場所1か所に統一しました。

実際にお客様からも「見つけやすかった」という声をいただきました。

当日はバス4台すべてでお客様が時間どおりに集合され、定刻に出発することができました。

海外のお客様に向けた商品では、「何を体験できるか」だけでなく、迷わず参加でき、安心して最後まで楽しめるところまで設計することが必要だと感じています。

長岡花火を入口に、新潟での滞在をもっと広げたい

――今後、海外のお客様に向けて挑戦したいツアーはありますか。

王 今後は、花火と佐渡島を組み合わせたツアーを企画したいと考えています。

夏の海や島での滞在と、夜空を彩る花火を組み合わせることで、新潟の夏をより深く楽しんでいただけると思っています。

長岡花火をきっかけに新潟を訪れた方が、それだけで帰るのではなく、佐渡をはじめとする県内の魅力にも触れる。

そして、「もう少し新潟に滞在してみたい」と思っていただける商品につなげていきたいです。

 

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